遺言書の遺留分の関係
2020年1月24日
遺言書の作成をお手伝いする中で、遺言書と遺留分の関係についてよくご質問を受けますので、少しご説明をしておきたいと思います。参考にしてください。
【まず遺留分とは?】
遺留分とは、一定の相続人が、遺産の一定割合を取得することを保障されている法律上の権利です。
民法において、相続人や相続割合が定められていますが、これは遺言や遺産分割協議によって変更することができますが、このような場合であっても、一定の相続人は、遺産の一定割合を取得することが保障されています。
遺留分を侵害された人は、贈与や遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害の限度で贈与や遺贈された財産の返還を請求することができます。これを遺留分減殺請求と言います。
【遺留分を侵害する遺言があった場合】
遺留分が遺言より優先されるとはいえ、遺留分を侵害する遺言書であってもそれ自体は有効ですので、遺言の内容に沿って遺産が承継されることになります。
上述のとおり、遺留分を侵害された人は遺留分減殺請求を行うことができます。
つまり、遺言自体は有効なものであり、遺留分減殺請求がなされるまでは遺言の内容に沿って遺産が承継されるということになります。ただし、遺留分減殺請求がなされた場合には、遺留分侵害の限度で減殺される(減らさせる)だけであって、残りの遺産は遺言で指定された人が取得します。
なお、遺留分は一定の相続人が持つ権利ですので、遺留分減殺請求するか
どうかは自由ということになります。
【遺言と遺留分減殺請求の優先順位】
公正証書遺言によって相続人の遺留分が侵害されたとき、公正証書遺言と遺留分減殺請求権のどちらが優先されるのでしょうか?
優先されるのは「遺留分減殺請求権」です。
※「遺留分を侵害する遺言はできない」(民法902条1項)
【遺留分減殺請求権の時効、除斥期間】
遺留分減殺請求権には時効があり、「相続発生と遺留分を侵害する遺言や贈与の事実」を知ってから「1年間」以内とされています。
なお、相続発生後10年が経過すると、「相続発生と遺留分を侵害する遺言や贈与の事実」を知らなくても、遺留分減殺請求権は消滅してしまいます。
※民法1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
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