税務会計の基礎知識 その1 ~事前確定届出給与~
2020年2月5日
今回は税務会計の基礎知識その1として、実際に相談のある事前確定届出給与について
ご説明します。
■法人税
■質問
・事前確定届給与を提出したが、届け出したとおりに支給されない場合、税務上どのように判断すべきか?
■回答
・原則として、支給時期、支給金額又は株式数等が事前に確定し、実際にもその定めのとおりに支給される給与に限られます(法基通9-2-14)。
したがって、所轄税務署長へ届け出た支給額又は株式数等と実際の支給額又は株式数等が異なる場合には、事前確定届出給与に該当しないこととなります。
※要するに、届出どおりに支給しない場合は、事前確定届出給与に該当せず損金不算入となります。
では、2回以上の支給がある場合、定めのとおりに支給されたかどうかをどのように判定するのかという問題がでてきます。
この場合の判定は、原則、その職務執行期間に係る当該事業年度及び翌事業年度における支給について、その全ての支給が定めどおりに行われたかどうかにより判定が必要です。
言葉だけでは分かりづらいので事例を2つあげて検証します。
【事例1】
・法人決算月 :3月末決算(X年4/1~X+1年3/31)
〇届出内容
・定時株主総会:X年6月26日
・職務執行機関:X年6月26日~X+1年6月25日職務執行期間
・支給 :定期同額給与 毎月末日●●円
X年 12月25日に200万円(当期会計期間)
X+1年6月25日に200万円(翌期会計期間)
〇実際の支給 :定期同額給与 毎月末日●●円
X年 12月25日に 100万円
X+1年6月25日に 200万円
<判定>
その職務執行期間に係る支給の全てが定めどおりに行われたとはいえないため、その支給額の全額(300万円)が事前確定届出給与には該当せず、損金不算入となります。
なお、定期同額給与は、届出どおりに支給されていれば全額損金算入となります。
・12/25支給 会計事業年度(X 年4/1~X+1年3/31) 100万円支給
・6/25支給 会計事業年度(X+1年4/1~X+2年3/31) 200万円支給
【事例2】
・法人決算月 :3月末決算(X年4/1~X+1年3/31)
〇届出内容
・定時株主総会:X年6月26日
・職務執行機関:X年6月26日~X+1年6月25日職務執行期間
・支給 :定期同額給与 毎月末日●●円
X年 12月25日に300万円(当期会計期間)
X+1年6月25日に300万円(翌期会計期間)
〇実際の支給 :定期同額給与 毎月末日●●円
X年 12月25日に 300万円
X+1年6月25日に 50万円(減額)
<判定>
X年12月25日に届出どおり支給した役員給与については、損金算入となります。
しかし、X+1年6月25日の50万円支給については、損金不算入となりす。
なお、定期同額給与は、届出どおりに支給されていれば全額損金算入となります。
※理由は、会計事業年度が異なり、支給金額を減額したことが直前の事業年度課税所得に影響を与えるようなものではないため、翌事業年度に支給した給与の額のみ損金不算入と取り扱っても差し支えないとされています。
・12/25支給 会計事業年度(X 年4/1~X+1年3/31) 300万円支給
・6/25支給 会計事業年度(X+1年4/1~X+2年3/31) 50万円支給
【ワンポイントアドバイス】
事前確定届出給与の届出を提出し損金算入するためには、届け出どおりに支給(支払年月日、支払金額を届け出に記載することが要件)することが必要要件となります。
よって、翌期の事業計画を作成し役員報酬予算を確保し計画立てて経営していくことが節税につながります。
事前準備が必要ですので、事業計画書作成及び役員報酬決定シミュレーションについて税理士に相談することをお勧めします。
【ご参考資料】
国税庁HP 質疑応答事例「法人税」
※法基通 9-2-14 (事前確定届出給与の意義)
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